WEB限定 書き下ろし小説

はじまりの三人組!!

第五回

「それで、君たちは?」
 今度はアンリが二人にたずねた。
「あたしはベル。ベル様、またはベルおじょうさまってよんでいいわよ」
 黒髪をかき上げる仕草は、こんな時でもえらそうである。
「そして、このぼくこそ!」
 ここぞとばかりに、ポーズを決めるショーン。
「アムリオンにさく名家、サクノス家の四男にして勇かんな……ぐはっ!」
「声が大きいのよ!」
 ベルのこぶしが、みぞおちに決まった。
「……ショーン……サクノス……ド……レイバーン……ショーン様と……よぶことをゆるそう……」
 くずれ落ちながらも、結局、名乗り終える。
「なるほどね」
 アンリは少しおどろいたひょうじょうになった。
「そうか。君たちがショーンとベル……」
 どうやら、二人の名前に聞きおぼえがあるようだ。
「ところで、アンリはここで何をしているのよ?」
 ベルはまだちょっとうたがっているようなひょうじょうである。
「目的は……たぶん、君たちと同じだね」
 アンリは、アーエスたちが入っていった倉庫のほうを見た。
「ここにとじこめられている子供たちを助けにきたんだ」
「子供たちって……ちょっと、アーエスのほかにも、だれかここにつかまってるの?」
「君たちがさがしている友達は、アーエスっていうのかい?」
「べ、別に友達って……」
 ベルは口ごもったが、じ?っとショーンに見つめられ、はくじょうする。
「そ、そうよ! 大切な友達よ! 悪い!?」
「……アーエスはいい友達を持ったね」
 アンリはベルの頭に手を置いた。
 ちょうど、父親がするのと同じように。
「……お願い、あの子を助けたいの。協力して」