WEB限定 書き下ろし小説

はじまりの三人組!!

第五回

「……お願い、あの子を助けたいの。協力して」
 ベルはアンリを見上げる。
「もちろん」
 そううなずいたアンリは、雨もりがしていそうないたんだ屋根を指さした。
「屋根の上に明りとりのまどがある。あそこなら気づかれずに入れそうだ」
「あのだな、どうやって上るというのだ?」
 ショーンはあきれ顔をアンリに向ける。
 屋根の上まではかなりの高さ。
 どう考えても長いハシゴが必要だ。
 しかし。
「こういう方法はどうかな?」
 アンリは二人の肩に手を置いた。
「え?」
「きゃっ!」
 ふっと体がうき上がる感しょくを覚える、ショーンとベル。
 いっしゅん後。
 三人は屋根の上にいた。
「ど、ど、ど、ど、どうやったのよ!」
 あたりを見わたすベル。
「まるで魔法だな。……いや、まさか?」
 ショーンも首をかしげる。
「ちょっと飛んだだけさ」
 アンリはウインクすると、そっと明かりとりのまどを開けた。
 そして、どこからか取りだしたロープをたらし、倉庫の中へと下りる。
 中はうす暗かったが、木箱が山のように積まれているのが分かった。
「あっちか?」
と、ショーン。
 三人が下りた位置から少しはなれた場所に、ランプのともしびが見える。
 ふくすうの人の気配。
 ベルは木箱のかげにかくれ、そちらをうかがう。
 すると。
「いたわ」