WEB限定 書き下ろし小説

守りたいもの ~レンの気持ち~

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 同じ頃。
 トリシアは騎士団の馬小屋でアンガラドを手伝いをしながら、愚痴をこぼしていた。今日は馬の集団検診の日なのだ。
「レンったら、ムキになっちゃって。プリアモンドたちに勝てる訳ないじゃない?」
「それはね~」
 アンガラドは不気味にニタ~ッと笑う。
「認めてほしいのよ~」
「何を?」
「あなたを守るのが誰かってことを~」
「わたし?」
 トリシアは唇をとがらせた。
「わたしは誰にも守ってもらわなくていいよ」
「でもね~」
 アンガラドは青白い顔を近づける。
「あなたが危ない目にあった時に~、いつも誰がいてくれた~?」
「そ、それは……」
 トリシアは、馬の目を調べる手を止めて考え込んだ。