WEB限定 書き下ろし小説

守りたいもの ~レンの気持ち~

9

「ごめん」
お化けエイのしっぽに絡みついていた錨を外してやり、故郷の海へと向かわせると、レンはトリシアに謝っていた。
「君を危ない目にあわせた。……君を守らなきゃいけないのに」
「いいよ。レンたちが気がつかなかったら、あの子、もっとひどいことになってたかも知れないし」
トリシアは首を振る。
「結果じゃない。僕は自分のことだけしか考えずに行動した。それが問題なんだ」
レンは目を伏せた。
「気にすることはない、そんなのセドリックだったらしょっちゅうだ」
「四男の人もね」
ショーンとセドリックがなぐさめにならない慰めの言葉をかける。
「それに」
プリアモンドがレンの肩に手を置いた。
「君は、街の被害を最小限に食い止めた」
「まさか馬鹿力角娘の手を借りるとはな」
さすがに思いつかなかったという顔のリュシアン。
「マストを吹き飛ばした魔法も良かったよ」
エティエンヌがウインクする。
「みんな……」
レンの声は震えていた。
「レンはレンのままでいいんだよ。別にプリアモンドたちの真似なんかしなくたって」
トリシアはそう微笑み、レンの手を握るのだった。

(おわり)

…レンの本当の気持ち、トリシアにつたわったかな??