WEB限定 書き下ろし小説

大激突!? トリシアVSフローラ!!

「諸君!」
 一同が?三本足のアライグマ?亭のテーブルを囲むと、フランチェスコが言った。
「我々は戻る方法をなんとしても見つけなくてはならない! そう、あのうるわしき水の都、ヴェネツィアに!」
 フランチェスコはイスに足を乗せると、適当な方向をビシッと指し示す。
「な、なんか、キャットに通じるところあるよね、この人」
 苦笑するトリシア。
「オーッホッホッホッ! 高貴な人間というものは、みんな、こうした話し方をするものですわ!」
 と、キャスリーンは高笑いする。
「アムレディア姫は、もっと普通に話すけどね」
「レン! 余計なことは言わなくてよろしいんですの!」
 レンの言葉に、キャスリーンは唇を尖らせた。
「だいたい、みなさんはお姉さまのこと、買いかぶりすぎですわ! あの人が微笑みながら口にするインケンな言葉ときたら、それこそ、ドラゴンが目を真っ赤にして、尻尾を丸めて逃げ出すくらいの……」
「……ドラゴンが、どうかしたのですか?」
 キャスリーンの後方で声。
 トリシアがそちらを見ると、そこにはアンリを連れたアムレディア姫その人の姿があった。
「げっ!」
 顔が真っ青になるキャスリーン。
「げっ、は下品ですよ」
 アムレディアはそう言いながら、キャスリーンの隣に座る。
「……お姉さま、今の、聞いていらっしゃいました?」
 キャスリーンは、恐る恐る尋ねた。
「何のことかしら?」
 アムレディアはとぼける。
「……キャスリーン、しっかり聞かれてたから、後で謝った方がいいよ」
 アンリはキャスリーンにこっそり耳打ちした。
「先生、王女!」
 トリシアは二人の姿を見て、ホッとした表情になる。
「良かったー。ちょうど二人に相談しなくちゃって思ってたところなんです」
「事情はだいたい分かってるよ。この人たちの話からね」
 アンリはうなずくと、扉のほうに目をやった。
 その場所に立っていたのは、ヒゲを伸ばした鉱山妖精ツヴァークの老人と、しょぼくれた中年男の二人組だ。
「パラケルスス先生!?」
 中年男の姿を見て、声を上げるフローラとオーウェン。
「やはり、お前さんたちもこの世界に来ておったか?」
 パラケルススはうなずく。
「思っていた通りじゃわい」